きみの居ない春を、まだ知らない

湊の表情が変わった


ほんの一瞬だった


けれど玲奈には分かった


「忘れたくないものがあったから」


「何をですか」


湊は答えなかった


玲奈は待った


けれど、湊は窓の外を見るだけだった


「それは、まだ言えない」


その言葉を聞いて、玲奈は少しだけ笑った


「そうですか」


八年前と同じだった