きみの居ない春を、まだ知らない






個展の日、玲奈はいつもより早く家を出た


待ち合わせの時間までは、まだ三十分もある


それなのに、家を出ずにはいられなかった


理由は分かっている


朝倉湊に会うからだ


八年ぶりに


玲奈は駅のホームで、何度もスマートフォンの時計を確認した


早すぎる


そう思っているのに、戻る気にはなれなかった


電車が来る