イケメン男子は、天然美少女を一途に溺愛中。

境内の端まで歩くと、人が少し減った。
木々の間から夜風が通り、提灯の光がゆらゆら揺れる。

社務所の裏手に、小さな石段があった。
そこへ並んで腰を下ろす。

遠くでアナウンスが流れ、もうすぐ花火が始まるらしい。
ざわめきが期待に変わっていく。

「今日は」

湊が静かに口を開く。

「会えないかと思ってた」

「私も」

紬は素直に答えた。
ここでは、もうごまかしたくなかった。

「真帆と来たんだけど、途中からずっと探してた」

そう言うと、湊がこちらを見る。

「探してたの」

「うん」

「俺のこと」

「……うん」

認めた瞬間、胸の奥がじんと熱くなる。
恥ずかしい。
でも、うれしかった。

湊は少し黙ってから、やわらかく言った。

「俺も」

その二文字に、夜の音が全部消えた気がした。

遠くで子どもがはしゃいでいる。
屋台の呼び込みも聞こえる。
それなのに、紬の耳には自分の心臓の音しか届かない。