イケメン男子は、天然美少女を一途に溺愛中。

七月の終わり、町内の夏祭りの日が来た。

終業式のあと、真帆に誘われたとき、紬は少しだけ迷った。
人混みは得意ではない。
にぎやかな場所へ行くと、ひとりだと余計に寂しくなる日もある。

けれど今年は、少しだけ違った。

もしかしたら、湊に会えるかもしれない。
そんな期待が、胸の奥で小さく灯っていた。

結局、紬は淡い水色の浴衣を着た。
母が昔選んでくれた、朝顔柄の浴衣だった。
もう袖を通すことはないかもしれないと思っていたのに、鏡の前に立つと不思議なくらいしっくりきた。