イケメン男子は、天然美少女を一途に溺愛中。

弟くん、お大事にしてね。朝比奈くんもちゃんと休んで。

送りすぎたかもしれないと不安になって、何度も画面を見た。
返信が来たのは、三十分ほどたってからだった。

ありがとう。弟、寝た。白石も早く寝て。

それだけの文だった。
短いのに、少し安心する。
でも、そのあとに続いたもうひとつの通知に、紬は息を止めた。

今日は会えてよかった

たったそれだけなのに、涙が出そうになった。

うれしい。
でも、切ない。
彼がそんなふうに言う日は、きっと少し無理をしている日だと思ってしまうから。

紬はスマートフォンを胸に抱えて、ゆっくり目を閉じた。

好きになるほど、相手の小さな痛みに気づいてしまう。
気づいても、まだ何もできない。
その無力さが、恋をやさしくも苦しくもする。

窓の外では、まだ雨が降っていた。
あの日と同じやさしい雨なのに、今夜は少しだけ冷たく聞こえる。

湊の隣にいたい。
笑ってほしい。
支えたい。

そんな願いが、少しずつ恋になっていく。
けれどその恋は、ただ甘いだけでは育たない。
彼の抱える影に触れたとき、きっと紬は知ることになる。
好きという気持ちは、しあわせだけでは済まないのだと。

それでも、明日も会いたいと思った。
どんな顔でもいい。
少しでも、彼のとなりにいたかった。