Office Battle!不満だらけの女たち

ガチャリ。

玄関の戸が開く音。
啓祐が帰ってきたのね。
ずっと帰宅を待っていたのに、私は動けなかった…。
もう随分前からお出迎えなんてやってなかったし。

「ただいま。あー疲れた」

「おかえりなさい」

何に疲れたって言うの?

「珍しい、起きてたんだ」

「珍しく、ね」

どうも会話がスムーズにできない。

「風香と大地は?」

「寝てる。今日動物園行ってきた」

「そっか、今回は本当にゴメン。どうしても断れない仕事でさ」

本当に仕事だったの?という言葉を飲み込んだ。

「そうそう、会社の人から電話があったわよ」

「ああ、梶原だろ?あいつもご苦労だよなぁ」

と、言いながら啓祐はリビングを出て行った。
きっと、シャワーだ。

「はぁ…」

いなくなって、大きなため息が出た。
さっきの啓祐に不自然なところはなかった?
私が起きていて驚いたのは、ただ珍しかったから?
出張じゃないかもしれないと思ったのは私の勘で、証拠は何もない。
聞けるはず、ないわよね…。

そうだ!給与明細!
今月分の給与明細が出たら、それを見ればいいんだわ。
本当に出張なら、出張手当が出てるはず!
それまでは、あえて何も聞かずに、たまにこっそりスマホチェックでもしてやろう。
私は今までスマホを見ようとしたことが一度もないから、啓祐は無警戒に違いない。
啓祐を責めるのは、証拠を見つけてからで充分だわ!
とりあえず平静を装った。

今後の方向性が決まったら、睡魔が訪れた。
体力的に限界まで動いたからね。
お風呂に入っている啓佑を待たずに、私は布団に潜り込んだ。