【New】黒蝶 -ふたりの総長に奪われて-




驚きで、まん丸になる瞳。

遠慮なく、それはもう本当に居心地が悪くなるくらいジーッと見つめられる。うわ。香水の匂い、強い。



「は? え、ほんまに言うてんの?

ちょ、待ってや。高校生なん? こんな時間に何してるん?」



「そのくだりならもうやった。

雫、そこのバカ放っといていいから行くよ」



「誰がバカやって!?」



(つづみ)以外に誰がいんの」



容赦なく言い捨てて、立ち尽くすわたしの手首を引く越。慌ててわたしも歩きはじめる。

どうやらわたしが冷たいと感じた言い方は何もわたし相手だったからじゃなくて、越自身が元々こういう人みたいだ。その証拠に、鼓と呼ばれた彼は「バカちゃうし!」と別の部分に対して言い返している。



問題はそこじゃないと思うんだけどな。




「俺らは、朝顔っていう暴走族に所属してて。

さっき言ったパトロールもそれが理由。本来ならこういう未成年発見のケースは適当に見逃して家に帰すところだけど、」



するり。手首を握っていた手が、わたしの手を握る。

指先までしっかり絡めた、恋人繋ぎで。



「俺が気に入ったから連れて帰る」



「っ……」



慣れてる。ぜったいに女の子の扱いに慣れてる……!!

こんな綺麗な顔で、そんな風に甘い目を作って、慣れていないわけがない。わかってるのに、言われ慣れていないこっちは勝手に顔が赤くなってしまうのが悔しい。



「良い? 雫」



自分の名前を呼ばれるのだって、普段ほかの人に呼ばれるのとはまったく違うものに聞こえる。

ふわふわ、浮き足立ってしまうような感覚に陥る。