「いいかい、白石さん。ディベートというのは、論理がすべてなんだ。君の言っていることは、ただの『感情の押し売り』だよ」
放課後の旧校舎、英語ディベート部の部室
橘健二はホワイトボードの前に立ち、チョークを片手に眉間を思いきり揉みほぐしていた
その正面で、白石紬は不満そうに口を尖らせ、手にした英語のテキストをパタパタと扇いでいる
「えー? だってさ、ウチの言いたいことは『マジそれな!』ってことだし。ロジックとか言われても、パッションが伝われば良くない?」
「良くない!! ディベートの大会で『マジそれな』なんて英語、一秒で減点対象だ!」
健二のツッコミに、部屋の隅でパイプ椅子に座っていた私は、うんうんと深く頷いた
「健二の言う通りだよ、紬。ディベートは言葉のキャッチボールなんだから、もっとこう……相手の胸元に『ストレートの豪速球』を投げ込む感じでいかなきゃ! まさに『棚から牡丹餅』をぶつける勢いだよ!」



