君の才能ごと、独り占め

そうして先輩が去っていくと、廊下には一瞬だけ沈黙が落ちた。

私は恐る恐る隣を見る。

恒一くんは無表情。
でも知っている。これはかなり嫉妬している顔だ。

「恒一くん」

「なに」

「怒ってる?」

「怒ってない」

「それ怒ってる人の言い方」

彼は少しだけ息をついた。

「怒ってない。余裕がないだけ」

その正直すぎる答えに、胸がきゅっと甘くなる。