君の才能ごと、独り占め

文化祭が終わった次の週、学校の空気はまだ少し浮ついていた。

講堂の演奏のこと。
二年三組の音楽喫茶のこと。
そして、私と恒一くんのこと。

廊下を歩くだけで視線を感じる。
前よりもずっと、はっきりと。

「やっぱり付き合ってるんだ」

「文化祭の日、手つないでたよね」

「榊くん、橘さんにだけ雰囲気違うし」

そんな声が聞こえるたび、恥ずかしいのに、少しだけうれしい。
もう隠さなくていいんだと思えるから。

でももちろん、平穏なままでは終わらなかった。