君の才能ごと、独り占め

ソロ。
大勢の前で。
しかも講堂で。

怖い。
まだ、完全には平気じゃない。

でも。

もし弾くなら、それは昔みたいに期待に押されてではなく、私の意志で選びたい。

ゆっくりと視線を巡らせる。
クラスメイトたちの顔。
心配そうな先生。
そして教室のいちばん後ろで、静かに私を見る恒一くん。

彼は何も言わない。
ただ、昨日と同じ目で待ってくれていた。

私は唇をきゅっと結び、そして小さく息を吸う。

「……少し考えてもいいですか」

先生がすぐに頷いた。

「もちろん。今日中に返事をもらえたら助かる」

放課後の廊下を、私はひとりで歩いた。
窓の外は、文化祭前日の高揚でどこかきらきらして見える。
なのに胸の中は落ち着かなかった。

ソロで弾く。
その響きは甘くもあり、怖くもある。