君の才能ごと、独り占め

「今の、もう一回」

「無理」

「言って」

「言わない」

「じゃあ代わりに」

彼がそっとこちらへ身を寄せる。
額が触れそうな距離で止まり、低い声でささやいた。

「会えないと寂しいって言って」

「む、無茶言わないで」

「俺は言える」

「恒一くんは平気そうに見えて全然平気じゃないもんね」

「星音相手なら無理」

その返しに、私は何も言えなくなる。

結局、私が根負けした。

「……寂しい、よ」

蚊の鳴くような小さな声だったのに、恒一くんはちゃんと聞き取ったらしい。

次の瞬間、彼の表情がわずかにくずれる。
うれしさを隠しきれない顔。

「かわいい」

「もうやだ」

「やじゃないくせに」

「……少しだけ」

「正直」

くすっと笑った彼は、そのまま私の肩をそっと引き寄せた。