君の才能ごと、独り占め

断ればいい。
そう思うのに、場を悪くしたくなくて言い淀む。

そのとき、後ろからすっとパネルが持ち上がった。

「通るからどいて」

冷たいくらい静かな声。

振り向かなくてもわかった。
恒一くんだ。

男子たちは一瞬たじろいで、慌てて道を空ける。
恒一くんは私の持っていたパネルを当然みたいに受け取ると、そのまま前へ歩き出した。

「榊くん?」

「星音、行く」

名前呼び。

しかもみんなの前で。

私は心臓を跳ねさせながら、慌ててその後を追った。

講堂の裏手に出たところで、恒一くんが足を止める。
パネルを壁に立てかけた彼は、ゆっくり私を見た。

「困ってた」

「え」

「顔」

やっぱり、すぐ見抜かれる。

「少しだけ」

「少しでも嫌なら断って」

その言い方は、責めているようでいて実際は違う。