君の才能ごと、独り占め

一斉に視線が集まる。

彼は椅子にもたれたまま、静かな目でクラスメイトたちを見ていた。

「本人がやりたいなら別だけど、期待だけで押すのは違うだろ」

場がしんとする。

女子のひとりが気まずそうに笑った。

「いや、そんなつもりじゃなくて」

「わかってる」

恒一くんはそれ以上責めなかった。
ただ、それで十分だった。

みんなが少しずつ話題を戻していく中、私はそっと息をつく。

助かった。
また。

でも同時に、少しだけ申し訳なさもあった。

帰り道、駅までの道で私は口を開いた。

「さっき、ありがとう」

「別に」

「でも助けてもらってばっかりだね、私」

そう言うと、恒一くんは少しだけ眉を寄せた。

「それ、気にしてる?」

「ううん。ただ」

「ただ?」

「私、自分でちゃんと断れるようにならなきゃなって」

彼は少し黙ってから言った。