君の才能ごと、独り占め

「嫌じゃない」

それは本心だった。

怖くないわけじゃない。
でも、恒一くんとの関係をなかったことみたいにされるほうが、きっとずっと嫌だ。

「ただ」

「ただ?」

「恒一くんに迷惑かけてないかなって」

その瞬間、彼は足を止めた。

廊下の窓から差し込む午後の光が、黒髪にやわらかく落ちる。

「星音」

「なに」

「俺が自分で選んでそばにいるのに、迷惑なわけない」

まっすぐすぎる言葉に、喉が熱くなった。

「それに」

「うん」

「むしろ、もっと堂々としてたいくらい」

心臓がはねる。

「どういう意味」

「そのまま」

さらっと返されて、私はまた顔を赤くした。

どうしてこの人は、こんなクールな顔でとんでもないことを言えるんだろう。