君の才能ごと、独り占め

そして翌朝。

約束どおり、校門の前には恒一くんがいた。

朝の光の中で私を見つけた彼は、いつもの無表情のまま近づいてくる。そして周りに聞こえないくらいの小さな声で言った。

「おはよう、星音」

その一言だけで、胸が満たされる。

「おはよう、恒一くん」

返した瞬間、彼の指先がそっと私の手に触れた。

「今日もかわいい」

朝いちばんにそんなことを言われて、私は言葉を失う。

「な、なに急に」

「思ったから言った」

「心の準備が」

「毎日言えば慣れる」

「慣れないよ」

「じゃあ毎日赤くなって」

さらっと言い切るその顔は、相変わらず涼しい。

でも目だけは、少しだけ楽しそうだった。

「星音」

「なに」

「今日は昨日より、もっと俺の近くにいて」

「どうして」

「恋人なんだから」

その響きが甘すぎて、私はもう何も言えなくなる。