「……じゃあ、明日も一緒に来て」
恒一くんは満足そうに目を細めた。
「最初からそのつもり」
電車に乗り込み、ドア越しに手を振る。彼は大きく振り返したりしない。ただ静かにこちらを見て、ほんの少しだけ口元をやわらげた。
その表情を見た瞬間、私は思う。
きっとこれから、簡単な恋にはならない。
私は才能という看板を背負っていて、彼は誰からも注目される人だ。嫉妬も噂も、たぶんまだ増える。平穏なだけの日々ではいられない。
それでもいい。
彼が私を見つけてくれたから。
私の才能じゃなく、弱さも強がりも全部ひっくるめて好きだと言ってくれたから。
だから私も、ちゃんと彼を好きでいたいと思う。
クールで、静かで、誰よりもまっすぐ甘い彼を。



