君の才能ごと、独り占め

私はそっと自分の手を見る。

帰り道、恒一くんとつないでいた手。
もう離れているのに、なんだかまだあたたかい気がした。

泣いたあとに、強く引っぱるんじゃなくて。
静かに隣を歩いて、やさしく握ってくれたこと。
そのぬくもりが、今もちゃんと残っている。

好きだなと思う。

甘い言葉をくれるところも好き。
ときどき独占欲が強くなるところも好き。
でも今日みたいに、何も急がせずに待ってくれるところが、たぶんいちばん好きかもしれない。

そう思った瞬間、また顔が少し熱くなる。

「……だめだ」

小さく笑って、私はベッドに倒れこんだ。

ついこの前まで、こんなふうに誰かを思ってひとりで赤くなる日が来るなんて想像もしていなかった。