君の才能ごと、独り占め

私はベッドに腰かけて、枕を抱きしめた。

うれしかった。
すごく、うれしかった。

今までピアノのことを話すときは、いつも少し身構えていた。
上手いねと言われたら、どう返せばいいかわからない。
また弾かないのと言われたら、胸のどこかが少し痛む。

好きだったはずなのに。
今でも嫌いになれないのに。
それをうまく説明できなくて、ずっと曖昧に笑ってごまかしてきた。

でも今日は違った。

恒一くんは、無理に励まさなかった。
戻ればいいとも言わなかった。
ただ、私の音が好きだと言ってくれた。

それが思っていたよりずっと、救いになっていた。