君の才能ごと、独り占め

私はこくんと頷いた。

「恒一くんも」

「ん?」

「今日はありがとう」

彼は少しだけ目を細めて、静かに答える。

「こちらこそ」

それから、ほんの少しだけ近づいて。
額が触れそうなくらいの距離で、でも触れずに止まる。

「また明日」

低い声が、やわらかく落ちる。

「……うん。また明日」

そう返すと、恒一くんは満足したみたいに小さく笑った。

大きなキスも、激しい言葉もない。
でも、今日の帰り道にはたしかに特別な甘さがあった。

泣いたあとだからこそわかるやさしさ。
静かに触れて、急がずにそばにいてくれるぬくもり。
それが今は、どんな甘い言葉よりもうれしかった。