君の才能ごと、独り占め

「それ、かなりうれしい」

私までまた恥ずかしくなってしまう。

でも今日は、ちゃんと伝えたい気持ちのほうが強かった。

「また、いつか聞いてほしい」

その言葉に、恒一くんがゆっくり私を見る。

「いつでも聞く」

「上手くなくても?」

「星音なら」

迷いのない返事だった。

「じゃあ、またいつか」

「うん」

静かな約束。
大きな言葉じゃないのに、ちゃんと心に残る約束だった。

そろそろ手を離さなきゃいけない。
そうわかっているのに、名残惜しい。

私が少しだけ指を動かすと、恒一くんが気づいたみたいに小さく笑う。

「離したくない?」

「……少しだけ」

正直に言うと、彼の表情がやわらかくほどける。

「同じ」

その一言だけで、胸がいっぱいになる。

そして最後に、恒一くんはつないだ手をそっと包み直してから、やさしく離した。

「帰ったら連絡して」

「うん」

「今日はちゃんとあったかくして」

「うん」

「あと、あんまり考えすぎないで」

その言い方がやさしすぎて、少し泣きそうになってしまう。