君の才能ごと、独り占め

嫌われるかもしれない。
がっかりされるかもしれない。
せっかくすごいって思ってくれていたのに、弱いって思われるかもしれない。

そう思うのに、もう隠しているほうが苦しかった。

長い沈黙が落ちる。

怖くて、私は顔を上げられない。

そのとき。

膝の上で握っていた手に、あたたかい指先が触れた。

恒一くんだった。

強く握るわけじゃない。
逃げ道を残すみたいな、やさしい触れ方。

「逃げたんじゃない」

低い声が、すぐ近くで響く。

私ははっとして顔を上げた。

恒一くんはまっすぐ私を見ていた。

「壊れる前に離れただけ」

その言葉に、息が止まりそうになる。

「でも……」

「好きだったものが苦しくなるの、相当しんどいだろ」

責める響きなんて、どこにもなかった。
ただ私の痛みをそのまま受け止めようとしてくれている声だった。