君の才能ごと、独り占め

こんな一面、知らなかった。

曲が終わる直前、床がきしんで音を立てる。しまったと思ったときには遅かった。

榊くんが手を止め、こちらを振り向く。

目が合う。

数秒の沈黙のあと、私はそっとドアを開けた。

「ごめん。プリント届けに来ただけで……」

榊くんは立ち上がりもせず、ただ私を見ていた。

「聞いた」

「……うん」

「内緒にしてたんだけど」

「ごめんね。勝手に」

「責めてない」

その声は思ったより穏やかだった。

私はプリントを職員用の机に置きながら、恐る恐る彼に近づく。