君の才能ごと、独り占め

そのとき。

机の下で、またそっと手が触れた。

今度は指先じゃない。
手の甲をやさしくなでるみたいな、小さな合図。

私ははっとして横を見る。

恒一くんはノートを開いたまま、こっちを見ない。
でも小さくつぶやいた。

「大丈夫」

その一言だけで、ふっと肩の力が抜けた。

私は誰にも気づかれないくらい小さく頷く。

大丈夫。
そう思えたのは、隣に恒一くんがいるからだ。