君の才能ごと、独り占め

私は急いで椅子を引いて座った。

すると、机の下で指先がそっと触れる。

びくっとして横を見ると、恒一くんは前を向いたまま小さく言った。

「逃げないで」

「に、逃げてない」

「じゃあこっち見て」

無理。
朝から無理。

でもちらっと横を向くと、恒一くんはほんの少しだけ口元をゆるめた。

「赤い」

「恒一くんのせい」

「うれしい」

そう返されて、もう何も言えなくなる。