君の才能ごと、独り占め

月曜日の朝。
教室のドアを開けた瞬間、私は少しだけ息をのんだ。

いつもと同じはずの教室。
いつもと同じ机の並び。
なのに今日は、全部が少し違って見える。

土曜日のデート。
帰り道。
夜の通話。

あのあとで恒一くんと顔を合わせるなんて、どう考えても平常心ではいられない。

しかも。

「おはよう、橘さん」

「ねえ、昨日駅前で見かけたって子いたよ」

「やっぱり榊くんと付き合ってるんだ」

席に向かう前から、いくつもの声が飛んでくる。

私は曖昧に笑ってごまかしながら、自分の席へ向かった。
窓際の列。
そして、その隣には。

もう来てる。

恒一くんはいつも通り静かな顔で席に座っていた。
でも私が近づいた瞬間、その目がまっすぐこっちを向く。

「……おはよう」

小さく言うと、恒一くんも低い声で返した。

「おはよう」

たったそれだけ。
それだけなのに、日曜日の夜に大好きって言い合ったことまで全部よみがえって、心臓がうるさくなる。