君の才能ごと、独り占め

私はベッドに寝転がって、天井を見上げた。
顔はまだ熱いままなのに、不思議と心は落ち着いていく。

「恒一くん」

『なに』

「今日のデート、楽しかった」

『うん』

「公園も、本屋さんも、カフェも」

『全部覚えてる』

「私も」

それから少しだけためらって、続ける。

「キスも……」

言った瞬間、自分で言ったことに耐えきれなくなって、クッションを抱きしめた。

電話の向こうが一瞬静かになる。

『……星音』

「なに」

『今すぐ会いたい』

「なんでそうなるの」

『その言い方はだめ』

低くなった声に、またどきどきする。

「でも、ほんとに楽しかったから」

『俺も』

「初デート、あんなに甘いと思わなかった」

『俺も思ってなかった』

「え、そうなの?」

『最初はもう少し落ち着く予定だった』

「予定だったんだ」

『星音見た瞬間に終わった』

真顔で言っているのが想像できて、思わず笑ってしまう。

『笑った』

「ごめん。でもうれしくて」

『うれしい?』

「うん。そんなふうに思ってくれてたんだって」

電話の向こうで、彼が少しだけ息をつく。

『思ってるよ、ずっと』

その言葉は飾りがないのに、いちばん深く響いた。

「……私も」

『うん』

「今日、いっぱいどきどきした」

『俺も』

「なんか、ずっと照れてる」

『それも同じ』

こんなふうに、同じ気持ちを確かめ合えるだけで幸せだった。