君の才能ごと、独り占め

「恒一くん」

『なに』

「今日、ほんとに甘すぎる」

そう言うと、少しだけ静かになる。
それから彼は、落ち着いた声で返した。

『今日だけじゃ抑えきれなかった』

その言葉に、帰り道の熱がまたよみがえる。

私は少しだけ黙ってから、小さく言った。

「……私も、会ったあとだからかな」

『なに』

「声聞いたら、安心した」

通話の向こうで、息をのむ気配がした。

『それ、反則』

「え」

『今たぶん、かなりうれしい』

そんなふうに素直に言われると、こっちまでうれしくなる。

「だって、今日いっぱい助けてもらったし」

『助けるのは当たり前』

「でも、ありがとうってちゃんと言いたかったの」

そう言うと、彼は少しだけやわらいだ声になる。

『うん』

「来てくれて、守ってくれて、ありがとう」

短い沈黙。
そのあと、恒一くんが低く言った。

『……好き』

あまりにも不意打ちで、私は息を止めた。

「え」

『今の流れで言いたくなった』

「ずるい」

『ずるくない』

「電話で急に言うの、反則だよ」

『星音がかわいいこと言うから』

またそれだ。