君の才能ごと、独り占め

家に帰って部屋着に着替えても、私はまだ落ち着かなかった。

鞄を置いて、ベッドに座って、スマホを手に取る。
画面を見るたび、帰り道のことを思い出す。

手をつないだこと。
抱きしめられたこと。
何度もキスされたこと。
最後に額へ落ちたやさしいキスの感触まで、全部ちゃんと残っていた。

心臓が静かにならない。

そんなふうに考えていたら、スマホが震えた。

恒一くん

表示された名前だけで、胸が大きく跳ねる。

深呼吸をひとつしてから、私は通話ボタンを押した。

「……もしもし」

『もしもし』

耳に届いた低い声に、それだけで胸が甘くなる。

学校で聞く声と同じはずなのに、電話越しだと少しだけ近くて、少しだけやわらかい。