君の才能ごと、独り占め

「なに」

振り向いた恒一くんに、私は小さく言う。

「私も、帰ったら声聞きたい」

その瞬間、彼の目がやわらかく揺れた。

「……うん」

短い返事なのに、うれしさが全部わかる。

「じゃあ、帰ったらすぐかける」

「待ってる」

そうして手が離れる最後の瞬間まで、指先にはまだ彼の熱が残っていた。