君の才能ごと、独り占め

「……恒一くん」

「これは我慢したほう」

「十分ずるいよ」

「知ってる」

そう言って笑う彼は、ようやく少し落ち着いた顔をしていた。

怖かった出来事の帰り道。
なのに最後には、こんなふうに胸が苦しくなるくらい甘くなるなんて思わなかった。

嫉妬して、独占欲が強くなって、でもその全部が私を大事にする気持ちにつながっている。
だからきっと、こんなにも愛しい。

改札を通る前、私は勇気を出して彼の袖を少し引いた。