君の才能ごと、独り占め

駅までの残りの道は、さっきよりずっと近い距離で歩いた。

恒一くんはずっと手をつないだまま。
ときどき私を見る視線も、まだ少し熱い。

でももう、その熱は怖くなかった。
むしろ守られている感じがして、心地よかった。

改札が見えてきたところで、恒一くんがまた足を止める。

「今日」

「うん」

「帰ったら通話して」

「したいの?」

「したい」

短いけれど、すごく真剣な声だった。

「声、聞きたい」

その一言に、胸がふわっとやわらかくなる。

「うん、する」

「絶対」

「絶対」

そう約束すると、恒一くんは少しだけ満足そうに目を細めた。

「じゃあ、今度こそ帰れる」

「今度こそって、今日何回目?」

「星音がかわいいから仕方ない」

またそんなことを言う。

最後に、改札の手前でそっと額にキスが落ちる。

不意打ちすぎて、私は固まった。