君の才能ごと、独り占め

しばらく無言で歩いていると、恒一くんがぽつりとつぶやいた。

「思い出す」

「え」

「さっきの」

その一言で、何のことかわかってしまう。
私は少しだけ唇を引き結んだ。

「……ごめん」

すると恒一くんが足を止めた。

「それ、違う」

振り向くと、彼はまっすぐ私を見ていた。

「星音が謝ることじゃない」

「でも、心配かけた」

「心配した。でも、悪いのは星音じゃない」

その声は静かで、やさしい。
なのに奥のほうに、まだ熱い嫉妬が残っているのがわかる。

「俺が嫌なのは」

彼は少しだけ言葉を切った。

「怖がってる星音を見たことと、触られたのを見たこと」

胸がぎゅっと締まる。

私は何か言おうとしたけれど、うまく言葉にならなかった。

すると恒一くんは、つないでいないほうの手でそっと私の頬に触れる。