君の才能ごと、独り占め

昇降口を出るころには、空はもう薄い夕暮れ色に変わっていた。

部活帰りの生徒たちが少し離れたところを歩いている。
校門の前にはまだ人影もあって、完全にふたりきりというわけじゃない。

それなのに。

恒一くんは、いつもよりずっと強く私の手を握っていた。

痛いほどじゃない。
でも、離す気がないのがはっきりわかる力だった。

「恒一くん」

「なに」

「手……いつもより強い」

そう言うと、彼は前を向いたまま小さく息をついた。

「ごめん」

謝りながらも、すぐにはゆるまない。

「まだちょっと無理」

その言い方に、胸がきゅっとなる。

「……そんなに残ってるの?」

「残ってる」

即答だった。

校門を出て、人通りの少ない道に入る。
夕方の風は少し冷たいのに、つないだ手だけがやけに熱い。