君の才能ごと、独り占め

「……うん」

「嫌だった?」

今度は、はっきり答えられた。

「嫌だった」

恒一くんの喉が、わずかに動く。

「ごめん」

「え」

「もっと早く行けばよかった」

その言葉に胸がきゅっとなる。

「恒一くんのせいじゃないよ」

「でも見た」

低い声だった。
静かなのに、ぎりぎりの熱がある。

「触れられたの、見た」

私は息をのむ。

恒一くんは視線を逸らさないまま、ゆっくり言った。

「今、たぶんかなり余裕ない」

その言い方でわかる。
怒っている。
嫉妬している。
でも何より、私を心配している。

「星音」

「なに」

「嫌ならちゃんと言って」

その前置きに、胸がどきんと鳴る。

「……うん」

「キスしたい」

まっすぐすぎる言葉に、息が止まりそうになる。

「上書きしたいとか、そういう雑な言い方したくない」