君の才能ごと、独り占め

恒一くんだった。

今まで見たことがないくらい静かな顔をしているのに、目だけがひどく冷たい。

「榊くん……」

私の声は少し震えていた。

恒一くんはそれを聞いた瞬間、まっすぐこちらへ歩いてくる。
そして私の前に立つみたいに位置を変えた。

「離れてください」

淡々とした声だった。
怒鳴っていない。
なのに、相手の男子がたじろぐくらいの圧がある。

「いや、ちょっと話してただけで」

「嫌がってました」

「でも別に大したこと」

その言葉が終わる前に、恒一くんの目がさらに冷える。

「大したことかどうかは、あなたが決めることじゃない」

私はその背中を見つめたまま、息がうまくできなかった。

怖かった。
遅れてそれが押し寄せてくる。