君の才能ごと、独り占め

書店を出るころには、午前の緊張も少しずつやわらいでいた。
でも、そのぶん別の意味で近さを意識してしまう。

隣を歩く距離。
ふと触れそうになる手。
視線が合うたびにやわらぐ彼の表情。

どれも全部、特別だった。