君の才能ごと、独り占め

「そんな見ても変わらないよ」

「変わる」

「何が」

「俺が落ち着かなくなる」

その答えに、また心臓が速くなった。

カフェを出たあと、私たちは大きな書店に寄った。
私は恋愛小説や文芸コーナーを見て、恒一くんは静かについてくる。

「どれ読むの」

「表紙で気になったのとか」

「星音、表紙見るの好きだよね」

「うん。雰囲気で惹かれること多いから」

そう言うと、恒一くんがふっと笑った。

「わかる」

「え、恒一くんも?」

「星音の好きそうなの、なんとなくわかるようになった」

その言葉が妙にうれしくて、私は並んだ本の背表紙を見ながら小さく笑う。

「じゃあ、どれが好きそう?」

「甘いの」

「ざっくりすぎる」

「でも合ってる」

たしかに合っていて、言い返せなくなった。