君の才能ごと、独り占め

最初に入ったのは、駅近くの落ち着いたカフェだった。
窓際の席に向かい合って座るだけで緊張する。

学校ではいつも自然に話せるのに、今日は何もかもが違って見えた。

「星音」

「なに」

「さっきから全然こっち見ない」

「見てるよ」

「いや、見てない」

図星だった。

だって、目が合うたびにどきどきしてしまう。
制服じゃない恒一くんは、知っている人のはずなのに、少しだけ知らない人みたいで困る。

「……慣れないだけ」

そう正直に言うと、恒一くんの目が少しやわらぐ。

「俺も」

「え、恒一くんも?」

「かなり」

その一言に、緊張が少しほどけた。

飲み物が運ばれてきて、甘い香りがふわっと広がる。
私はひと口飲んで、ようやくちゃんと息をつけた。

「おいしい」

「よかった」

「こういうの、なんか新鮮だね」

「うん」

恒一くんはコップを持ったまま、静かに私を見る。

「学校じゃない星音、ずっと見てたい」

またそういうことを言う。