君の才能ごと、独り占め

「……少しだけ」

そう言うと、恒一くんはほんの一瞬だけ目をやわらげた。
そして本当に、少しだけ。
壊れ物を扱うみたいに、やさしく私を抱きしめる。

制服越しに伝わる体温があたたかい。
それだけで、さっきまでの緊張が全部ほどけていく。

「だめだ」

耳元で小さくつぶやかれて、私は瞬く。

「何が?」

「先輩とか、ほんと無理」

「そんなに?」

「星音が知らない男と話してるだけで気になる」

その言葉に、胸が甘く震える。

「じゃあ、私も言っていい?」

「なに」

「女の子に囲まれてる恒一くん見ると、ちょっとやだ」

彼がぴたりと止まる。

「……嫉妬?」

「たぶん」

そう答えると、恒一くんは少しだけ目を見開いた。
それから、どうしようもなくうれしそうに口元をゆるめる。

「やばい。今のかなり好き」

「え」

「もっと聞きたい」

「言わない」

「なんで」

「恥ずかしいから」

「俺は何回でも言うのに」

それはそう。
恒一くんは本当に、変に隠さない。