君の才能ごと、独り占め

「笑わないで」

「ごめん。でもうれしくて」

「何が」

「そんなに好きでいてくれるんだなって」

言った瞬間、彼の表情が止まる。

しまったと思ったけれど、もう遅い。

恒一くんはゆっくり一歩近づいてきた。

「星音」

「な、なに」

「それ以上かわいいこと言わないで」

「私、何もしてないよ」

「してる」

壁際まで追いつめられるほどじゃない。
でも、逃がす気のない距離。

「今、抱きしめたい」

心臓が大きく跳ねた。

「ここ学校」

「知ってる」

「昼休み」

「知ってる」

「人来るよ」

「来たら離す」

真顔だ。
本気で言っている。

私は赤くなりながら、そっと周りを見る。
今は誰もいない。