君の才能ごと、独り占め

教室へ戻る途中も、恒一くんはほとんど何も言わなかった。
でも歩幅は私にぴったり合わせてくれていて、その無言が余計にどきどきする。

階段の踊り場に差しかかったところで、彼が足を止めた。

「星音」

「うん」

「さっき、断ってくれてありがと」

私は少し驚く。

「当然だよ」

「当然じゃない」

そう言って、恒一くんは私を見る。

「星音が自分で線引いてくれたの、うれしかった」

その言い方がやわらかくて、でも少し切実で、胸が熱くなった。

「……そんなに不安だったの?」

「少し」

「少し?」

「かなり」

やっぱり。

思わず笑うと、恒一くんは少し不満そうに眉を寄せた。