怖いはずの彼は、今日も私にだけ甘い♡

しかもメッセージじゃない。 電話だ。

「……っ」 深呼吸をひとつしてから、震える指で通話ボタンを押す。

「も、もしもし」 声が少し裏返る。

するとすぐに、低くて落ち着いた声が耳に届いた。

『もしもし』 たったそれだけなのに、近くにいるみたいで胸が苦しくなる。

「どうしたの?」 そう聞くと、少しだけ間があった。

『声、聞きたくなった』 あまりにもまっすぐで、わたしは一瞬言葉を失った。

「……神崎くん」 『何』 「急にそういうこと言うの、ずるい」 電話の向こうで、小さく笑う気配がした。

『おまえこそ』 「わたし?」 『出た瞬間、かわいかった』 「えっ」 『緊張してんの丸わかり』 「してるよ……」 『知ってる』

その言い方がやさしくて、少しだけ頬がゆるむ。