怖いはずの彼は、今日も私にだけ甘い♡

帰り道、神崎くんはいつもよりゆっくり歩いてくれた。

わたしが少しでもふらつくと、すぐに腕を支えてくれる。 人通りの少ない道では、手をつなぐというより、逃がさないみたいにしっかり握ってくれた。

「ごめんね」 小さく言うと、神崎くんがすぐにこっちを見る。

「何が」 「授業抜けさせちゃった」 「勝手に抜けた」 「でも」 「それより自分の心配しろ」 「……うん」

その言い方がやさしいのに少しだけ怒っていて、胸があたたかくなる。

家の前に着くと、鍵を開ける手が少しだけ震えた。 神崎くんはすぐ隣で待っていてくれる。

「入ったらちゃんと寝ろ」 「うん」 「薬あるか」 「たぶん」 「たぶんじゃ困る」 「探す……」 「後で連絡しろ」

そう言って帰ろうとした神崎くんの袖を、わたしは無意識につかんでいた。