怖いはずの彼は、今日も私にだけ甘い♡

カフェを出たあとは、約束通り川沿いを歩いた。 午後の光が水面にきらきら反射していて、風も気持ちいい。

並んで歩いているだけなのに、特別な時間に思える。

「今日、楽しい?」 神崎くんがふいに聞いた。

「楽しいよ」 「ほんとに?」 「ほんとに」 「ならよかった」 「神崎くんは?」 「おまえいるから楽しい」

あまりにも自然に言うから、また胸があたたかくなる。

少し先にベンチが見えて、わたしたちはそこに並んで座った。 休日の川沿いは人もまばらで、周りの話し声も遠い。

神崎くんは飲み物の缶を開けてから、横目でわたしを見た。

「なあ」 「なに?」 「今日、ずっと我慢してる」 「また?」 「また」

真顔で返されて、思わず笑いそうになる。

「何を我慢してるの」 「近づきたいの」 一瞬で顔が熱くなる。

「だって外だし」 「そうだけど」 「あと、おまえたぶん今でもかなり緊張してる」 「……してる」 「知ってる」