怖いはずの彼は、今日も私にだけ甘い♡

黒のパーカーに細身のパンツ。 制服じゃない私服は初めて見るのに、見慣れない感じより先に、かっこいい、が頭を埋め尽くした。

いつもより少しだけラフなのに、それがずるいくらい似合っている。

「神崎くん……」 名前を呼ぶだけで、声が少しうわずる。

神崎くんはわたしの前まで来ると、数秒、そのまま黙った。

「え、えっと……?」 「……かわいい」 「っ」

やっぱり最初のひと言はそれなんだ、と少し思ったのに、その声が本気すぎて何も返せなくなる。

「今日ほんとに無理かも」 「何が……」 「待ち合わせの時点でこんなかわいいと思わなかった」 「神崎くん、朝からそれ言うのやめて……」 「無理」 「即答だね」 「おまえ見たら無理だった」

さらっと言われて、また心臓が忙しくなる。

神崎くんは少しだけ目を細めたまま、わたしの肩のあたりを見た。