怖いはずの彼は、今日も私にだけ甘い♡

文化祭の次の週、わたしは朝から落ち着かなかった。

今日は神崎くんとの初デートの日。

しかも、駅前で待ち合わせ。 それだけなのに、家を出る前から何度も鏡を見てしまった。

髪は変じゃないかな。 服、子どもっぽくないかな。 神崎くんに会った瞬間、がっかりされたりしないかな。

そんなことばかり考えてしまって、玄関を出たあとも胸がずっとそわそわしていた。

待ち合わせの十分前には着いたのに、駅前は思ったより人が多い。

買い物に来た人。 友だち同士で笑っている子たち。 家族連れ。 その中に立っているだけで、自分だけが妙に浮いている気がしてくる。

スマホを見下ろして、深呼吸をした、そのとき。

「早い」

聞き慣れた低い声がして、顔を上げる。

神崎くんがいた。