怖いはずの彼は、今日も私にだけ甘い♡

わたしが顔を上げると、神崎くんもこっちを見ていた。

街灯の光に照らされたその顔は、昼よりも少しやわらかい。 学校にいるときの鋭さが薄れて、好きな人の顔になっている。

「……どうした」 「ううん」 「言えよ」 「神崎くん、今すごくやさしい顔してる」 「は?」 「学校だともっとこわい」 「おまえの前ではこんなもん」 「それがうれしい」

そう言うと、神崎くんの目が少しだけ揺れた。

それから、わたしの髪をやさしく撫でる。

「おまえ、ほんと反則」 「神崎くんに言われたくない」 「知ってる」 「自覚あるんだ」 「おまえ相手だけな」

またずるい言い方をする。 でも、その特別感がたまらなくうれしい。

「帰るか」 「うん」

歩き出すと、今度は自然に手を取られた。 大きくて、少しだけ冷えた指先。 それでも握られた瞬間、安心する。

「冷たい?」 神崎くんが聞く。

「ちょっとだけ」 「悪い」 そう言って、少し強く握り直してくれる。

「すぐあったまる」 「うん」 「おまえの手、ちっちゃい」 「神崎くんが大きいんだよ」 「これくらいじゃねぇと守りにくい」 「またそういうこと言う」 「本音」