怖いはずの彼は、今日も私にだけ甘い♡

次の日。

私は教室に入るなり、隣の席をちらりと見た。

まだ来ていない。

胸の奥が落ち着かなくて、鞄を抱えたまま立ち尽くしていると、後ろから友だちの美優が声をかけてきた。

「どうしたの?」 「えっ、ううん、なんでもない」 「もしかして、神崎くん?」 「ち、違うよ!」

反射的に否定すると、美優はにやにやしながら椅子に座った。

「昨日見たよ。あんた、神崎くんと一緒に帰ってなかった?」 「一緒じゃないよ。たまたま……」 「へえ?」

絶対信じてない顔だ。

ちょうどそのとき、教室の扉が開く。 一瞬で空気が変わった。

神崎くんだ。

無言のまま席に向かってきて、私の隣に座る。 私は心臓がうるさくなるのを感じながら、意を決して口を開いた。

「あ、あの……昨日は、ありがとうございました」

神崎くんは机に鞄を置いたまま、ちらっと私を見た。

「別に」 「助けてもらって……すごく、嬉しかったです」 「……もうあんな時間にひとりで残るな」

思いがけない言葉に、私は目を丸くした。

怒ってるみたいな言い方なのに、そこに少しだけ心配が混じっている気がした。