怖いはずの彼は、今日も私にだけ甘い♡

「でも、わたしは神崎くんだけだよ」 そう言うと、彼の表情がぴたりと止まった。

「……今、反則」 「え?」 「そんな顔でそんなこと言うな」 「そんな顔って」 「抱きしめたくなる顔」

また心臓が大きく跳ねる。

廊下の端、人の気配が少ない場所。 神崎くんは一歩だけ近づいて、でも今度は触れずに止まった。

「文化祭終わるまで我慢する」 「我慢してるんだ」 「かなり」 「えらいね」 「子ども扱いすんな」 「少しだけかわいいと思った」 「……あとで覚えとけ」

また同じことを言うのに、その声はさっきより甘かった。

文化祭の終了時間が近づくころには、みんなくたくたになっていた。 でも教室の空気は達成感でいっぱいで、最後のお客さんを見送った瞬間、あちこちから歓声が上がる。

「おつかれー!」 「売上けっこういったんじゃない?」 「片づけの前に写真撮ろう!」

にぎやかな声の中、わたしもほっと息をついた。

そのとき、背後からそっとエプロンの端を引かれる。

振り向くと、神崎くん。